接着のメカニズム

接着のメカニズム

本ページでは接着のメカニズムについて、4つのテーマで解説します


なぜ、接着するのか?

1.アンカ-効果(機械的鍵作用)

~杭打ち~

被着体表面の凸凹*や穴の中に接着剤が侵入して硬化

機械的に引っ掛かり、結合力が発生

仮に、被着体と接着剤の界面が剥離している場合でも、
機械的鍵作用によって、接着を維持します(投錨効果)

接着強度は、投錨効果の大きさにより変化します


2.吸着(化学結合、分子間力) 

・化学結合:共有結合、イオン結合    
・分子間力:ファンデルワールス、水素結合

接着剤分子と被着体表面の分子との間が1nm以内に近づくと、
相互作用(分子間力、化学結合)が発生します

 共有結合 ≫ イオン結合 ≫ 水素結合 ≫ ファンデルワールス 

接着強度は化学結合が最も大きい



3.拡散

接着剤分子と被着体、もしくは被着体同士が互いに相溶性を持つ場合、
接着界面において 互いの分子鎖が相互に拡散し結合します

分子鎖同士が絡み合うため、強固な接着力が生まれます


良好な接着性を確保するには!

「熱応力」に負けない接着力を確保する構造設計が必要!

熱のかかる使用環境下において熱応力に接着力が負けた場合、剥離発生
:温度サイクル等の信頼性にも大きく影響


接着剤の選び方

 接着剤は、はんだ、ロウ付け等の金属に比べ、低温/安価で接合できるため、電子部材にも多用されております。
気軽に使用できる反面、接着剤の選定ミスによる問題も多く発生しています。

 我々は、これまで電子部品の実装における数多くの不具合に直面し、解析/代替接着剤の開発を行ってまいりました。
この経験から、はんだ接合も含めると、実にフィールドトラブルの30~40%が接着剤起因と言えます。
 不具合を防ぐには、以下のような手順を踏み、開発段階で接着メカニズムを把握した上で、接着剤を選定し使用する必要があります。


★選定手順

~メーカーカタログ、ヒアリング によりピックアップ~

・メーカーカタログ値は参考程度。例えばカタログ値にある接着強度は被着体により大きく変化する

~ピックアップした接着剤の主要特性の明確化~

・製品の製造プロセスと同等の条件で硬化させ、各接着剤の性能を比較する

~一次選定~

・数種類相当の接着剤をピックアップ

~接着剤選定~

・下記2項目の評価結果に鑑みて接着剤を製品適用

①各社規定の初期組み立て/寿命評価
 ・「規定条件の評価をクリアしたので適用」だけでは、フィールド障害のもと!

②製品の組み立てプロセスおよび使用環境マージンに鑑みた接着剤の特性変化を把握
 ・例えば、同じ接着剤でも異なる温度/時間で硬化させると接着特性は別物となる


接着不具合(剥離)に影響を及ぼす要因

接着不具合のほとんどは被着体との剥離不良!

剥離不良を発生させないよう、以下の取組みを実施する必要があります

・剥離不良の要因が発生しない製造プロセスの確立

・剥離不良の要因が発生しても懐柔可能な接着剤の開発/適用

(参考)剥離不良の不具合事例 

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