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【射出成形を知る③】樹脂の分類・種類・用途を徹底解説!

目次

「射出成形」は、加熱して溶かした樹脂を金型に流し込み、冷却することで目的とする製品形状を作る成形方法です。射出成形による加工に最適な合成樹脂(プラスチック)にはどのような種類があるのでしょうか?

この記事では、射出成形品の主な材料となる樹脂の基本的な知識から製造に関する専門情報まで幅広くご紹介します。

そもそも、樹脂ってなに?

樹脂とは、松脂(マツヤニ)や漆(ウルシ)などに代表される有機物です。

石油などを原材料として人工的に作られた合成樹脂(プラスチック)のイメージが強いですが、本来は樹木から分泌する樹液が空気に触れて固まったものを「樹脂」と呼びます。人工的に作られたものを「合成樹脂」、樹木から取れるものを「天然樹脂」と呼び分けますが、特に工業の分野においては、樹脂というと合成樹脂(プラスチック)を指す言葉として一般化しています。

【天然樹脂】

マツなどの樹木の樹液から出る樹脂成分で、漆や松脂、天然ゴム、琥珀などが代表的です。膠(にかわ)やカゼイン、べっ甲などの動物由来の天然樹脂、鉱物から採取される天然樹脂も存在します。

天然樹脂のイメージ

【合成樹脂】

人為的に製造された高分子化合物からなる物質で、いわゆるプラスチックと呼ばれるものです。天然樹脂の代替品として多く活用されています。

合成樹脂のイメージ

合成樹脂の原材料は主に石油生成の過程で生じる「ナフサ」という物質で、これにさまざまな化学処理を施してプラスチックを製造します。プラスチックは加工性に優れ、利便性が高いことが特長です。また、天然樹脂と比べて、安価で扱いやすい、自由度が高い、耐水性に優れる、絶縁性が高いなどのメリットがあります。

樹脂の分類

樹脂(プラスチック)は、一般的には「熱硬化性樹脂(熱を加えると固くなる樹脂)」と「熱可塑性樹脂(熱を加えると柔らかくなる樹脂)」の2つに分類されます。

熱硬化性樹脂

線状の3次元構造の高分子で、加熱すると軟化し、化学反応により固化します。 一度加熱 して固化したものは、再加熱しても溶けることはありません。電気器具、 テーブル、ボ タンなど、耐熱性を要求される箇所に使用されます。

熱可塑性樹脂

線状の高分子で、加熱すると軟化し、冷却すると固化します。加熱することによって繰り返し使用することが可能です。バケツ、コップ、密封容器などの家庭用品には、熱可塑性のスチロール樹脂・ポリエ チレン・ポリプロピレン・メタクリル樹脂等が使用されます。

熱可塑性樹脂は、耐熱性の度合いで汎用樹脂・汎用エンジニアリング樹脂・スーパーエンジニアリング樹脂の3分類に、高分子鎖の配行度合いから結晶性樹脂・非結晶性樹脂の2つに分類されます。

結晶性樹脂は、分子鎖が規則正しく配列した結晶を持ち、機械的強度が高く、耐薬品性にも優れています。非晶性樹脂は、分子鎖がランダムで結晶を持たず、成形収縮率が小さく、透明になりやすいという特長があります。

汎用プラスチック(耐熱性:100℃未満)

熱変形温度100°C未満、引っ張り強さ500kgf/cm²未満、耐衝撃5kgf.cm/cm未満の特性を持つ熱可塑性樹脂のことを言います。

樹脂価格が比較的安く加工もしやすいごく一般的な熱可塑性プラスチックです。プラスチック生産量の80%を占め、日用品や家庭用品、機械部品、電気製品のハウジングなどに幅広く使用されています。
特に下の代表的な汎用プラスチックの内、PS、PE、PP、PVCは、4大汎用樹脂と呼ばれ、多目的な用途で使用されています。

代表的な汎用プラスチック

略称

材料の正式名称

英語

通称

主な用途

特徴

ABS

アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック

acrylonitrile-butadiene-styrene plastic

ABS樹脂

家庭用電気部品のパネル、ハウジング、 自動車部品、ボート 類

機械的性質がバランス良く、汎用性が高い樹脂、メッキ性が良い

PMMA

ポリメタクリル酸メチル

poly methyl methacrylate

アクリル

自動車部品(テールランプ,メーターカバー) コンタクトレンズ,光ファイバー,光ディスク、水槽プレート

透明性、耐候性、表面光沢性、耐擦傷性に優れているが、PCより熱に弱い

PS

ポリスチレン

polystyrene

スチロール

容器、透明な雑貨、弱電機器、高発泡製品

安価で成形性が良く電気絶縁性に優れるが熱に弱く強度も低い

PE

ポリエチレン

polyethylene

ポリエチ

高密度

雑貨、工業部品、発泡材、パイプ、ブロー成形品

安価で低温に強く、吸水性が無い。耐薬品性に優れる

低密度

包装用フィルム、塗料、酢酸ビニルとの共重合材料、積層品

PP

ポリプロピレン

polypropylene

家庭用台所用品、フィルム、袋、容器

食品衛生性に優れる。安価で軽量。繰り返し折り曲げに強く、熱可塑性に優れているが、低温に弱い

PVC

ポリ塩化ビニル

poly vinyl chloride

エンビ

パイプ、波板、電線、レガー、フィルム、重合材料

安価で絶縁・耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐溶剤性に優れる

汎用エンジニアリングプラスチック(耐熱性:100℃以上)

熱変形温度100°C以上、引っ張り強さ500kgf/cm²以上、耐衝撃5kgf.cm/cm以上の特性を持つ熱可塑性樹脂のことを言います。

略してエンプラとも呼ばれます。汎用プラスチックと比較して機械的強度や耐熱性に優れた特性をもつプラスチックです。

代表的なエンジニアリング プラスチック

略称

材料の正式名称

英語

通称

主な用途

特徴

POM

ポリアセタール、

ポリホルムアルデヒド

polyacetal, polyformaldehyde

アセタール

機械部品、摺動部品、パイプ、シート、DVD、プリンター各種歯車、自動車部品、各種ファスナー等

耐疲労性、耐クリープ性、引張強さ、弾性、耐摩耗性、耐薬品性に優れる。

PET

ポリエチレンテレフタレート

poly ethylene terephthalate

ペット

ペットボトル、容器、絶縁材、光学用機能性フィルム、磁気テープ

強靭で耐熱性に優れ、無毒で吸水性も低いが、熱水とアルカリに弱い

PPE

ポリフェニレンエーテル

poly phenylene ether

ポンプ、接手、給湯口、自動車部品

高い耐熱性と機械的特性と電気的特性が有るが、成形性に難あり

PA

ポリアミド

polyamide

ナイロン

事務機械、自動車部品(ラジエータータンク・ファン・ギア)、コネクター、コイルボビン、スイッチ部品、スポーツ用品 

摩擦・摩耗特性、耐衝撃性、電気特性、低温性、耐薬品性が良好

PBT

ポリブチレンテレフタレート

poly butylene terephthalate

電機製品、電子部品、自動車電装部品

強靭で耐熱性に優れ、成形性も良いが、熱水とアルカリに弱い

PC

ポリカーボネート

polycarbonate

ポリカ

自動車部品(ヘッドライト)、カメラレンズ、CD・DVDのディスク,電気電子部品、医療・食品用部品、雑貨、フィルム

機械的強度のある透明のプラスチックとして有名。他に耐衝撃性、耐熱、難燃性に優れている。

スーパーエンジニアリングプラスチック(耐熱性:150℃以上)

汎用エンプラよりも更に高い熱変形温度150°C以上にも長期間使用できる特性を持つ熱可塑性樹脂のことを言います。

略してスーパーエンプラとも呼ばれます。260℃以上で使用可能なものやフッ素を含むものも多く、溶剤や薬品に対しても高い耐性を示す特長があります。より高温の環境下でも使用することができるスーパーエンプラは、医療機器部品や航空機部品に向いています。
 
特に医療機器向けに関しては、透明性が高く、かつ蒸気殺菌の高温にも耐えることができるスーパーエンプラが採用されています。

代表的なスーパーエンジニアリング プラスチック

略称

材料の正式名称

英語

通称

主な用途

特徴

PAR

ポリアリレート

polyarylate

電機部品、精密機械部品、フロッピーディスクのハブ、果汁炭酸飲料ボトル、目薬容器

耐熱性、難燃性、機械特性、透明性、耐候性に優れる

PPS

ポリフェニレンスルフィド

poly phenylene sulfone

自動車部品(排ガス関連,ランプ・センサー周辺)、電気部品(ビデオ・光ピックアップ、コネクター)、カメラのボディー、OAギア、洗浄治具

機械的強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、電気絶縁性、誘電特性に優れる

PEI

ポリエーテルイミド

polyetherimide

プリント基板、ICソケット、自動車部品、医療機器、航空機内装、コネクター

耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れ、成形安定性も高い

PES

ポリエーテルスルホン

polyethersulphone

電機部品、精密機械部品、耐熱ローラー、ギア、複写機部品、カメラ部品、自動車部品

耐熱性、難燃性、機械特性、耐薬品性、耐候性、透明性に優れる

PAI

ポリアミドイミド

polyamideimide

ベアリング、ギア、バルブ

極めて耐熱性に優れ、摩耗、耐衝撃性も高い

PEEK


ポリエーテルエーテルケトン

(ポリエーテルケトン)


Poly  Ether Ether Ketone

(Poly Ether Ketone)



ピーク

自動車関(スロットルボディ のギア、ABSパーツ、ATシー ルリング、ショック緩衝)、コピー機

スーパーエンプラの代表格、バランスの良い物性を保有している

日邦産業の強み 〜スーパーエンジニアリングプラスチックの製品開発〜

日邦産業は、金属代替可能な強度と耐熱温度を持ったプラスチック「スーパーエンプラ」成形品の製造を得意としています。スーパーエンプラは、エンジン内部などの通常目にすることが少ない部分や、100℃以上の環境下で使用され、高い機能を必要とされる電気製品の外装・機構部品・駆動部品、自動車や自動車部品、工業用品を中心に使われています。

当社の対応可能樹脂

樹脂の対応可能領域

結晶性スーパーエンプラ、エンプラ、汎用プラスチックに対応可能です。

結晶性樹脂の特長

<熱安定性>
 融点付近まで機械強度・クリープ等に優れたものが多い

<耐薬品性に優れる>
 結晶構造で覆うため、内部まで侵されにくいイメージ

金属から樹脂化へのサポート

弊社では、過去からの蓄積されたデータと経験をもとに、お客様が要求される機能・使用環境・精度等に対応できる適切な材料選定のご提案から製品化までの一連の過程をサポートさせていただきます。

スーパーエンプラは高機能ですが、家庭用雑貨などの、工業的に精密な精度が必要でない一般的なエンジニアリングプラスチック樹脂成形品(融点300℃以下)と比較すると高コストになります。

しかしそれ以上に、金属からスーパーエンプラに変更することでのコストメリットの方が大きくなる場合が多いため、高温環境かつ強度が必要な部品で軽量化やコストダウンを検討される際はスーパーエンプラによる金属の樹脂化を検討されることをおすすめします。

金属から樹脂化をする際の工法別イメージ

数量によりコストメリットのある工法をご提案させて頂きます。

樹脂の工法別コスト比のイメージ

(製品サイズ:Φ60 x 20㎜ 材質:PPAの場合)
5個〜100個程度なら当社試作型をお勧めします!

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お客様のご要望に合わせた構造・機構設計を承ります。必要なサイズ、機能、特性などの情報を基に、最適な設計仕様をご提案させていただきます。

日邦産業株式会社
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